とやく》引受《ひきうけ》の祝いとして、一同の者へ赤飯《せきはん》を振舞ってやるぞ」
いや罪人どもは赤飯と聞いて悦んだの何《なん》の。
一同「へえ/\お有難う存じます、旦那様、寿命が延びます、辱《かたじけ》なく存じます」
文「一同今日は是にて引取りませえ」
とそれ/″\役人へ引渡しました。いやもう囚人《しゅうじん》どもは明日《あす》の赤飯を楽しみに喜び勇んで引取りました。思えば罪のないものでございます。此のお瀧と申します婦人はもと八丁堀の碁打《ごうち》阿部忠五郎という者の娘でございます。是にてお話が一寸《ちょっと》後《あと》へ戻ります。
十八
えゝ、大伴蟠龍軒は丁度秋のことでございますが、自分の屋敷に居りまして、手を拍《う》ち、
蟠「これ/\お瀧か、一寸《ちょっと》お出《い》で」
瀧「はい、何《なん》ぞまた旨い仕事でもありますか」
蟠「いやお瀧今日は御殿女中になって貰わにゃアならん」
瀧「おや、御殿女中とは俄《にわか》の出世だねえ、まア」
蟠「旨くやると今日こそ金になるぞ」
瀧「そりゃア有難いね」
蟠「緑町《みどりちょう》の口入屋の婆《ばゝ》アを頼んで置
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