ネってからは、一緒になって非道なことを為《し》やがって、義理も人情も知らねえ悪婆《あくば》でござんすぜ、何《ど》うで生かして置いたからって為になる奴じゃアありやせん、寧《いっ》そ今から往って是までの意趣返《いしげえ》しに……」
一同「そうとも/\遣付《やっつ》けろ」
文「それをする位なら、こうして一同へ手を下げて頼みはせぬ、まア己に任してくれえ」
×「旦那の仰しゃる事だから一言《いちごん》でも背《そむ》きたかア無《ね》えが、本当に彼奴《あいつ》ア憎らしいからなア」
文「それだから頼むのじゃ、何《ど》うぞ其の宅へ案内してくれ」
×「別段案内にゃア及びますめえ、先刻《さっき》二三人廻して縛《くゝ》って……」
文「何《なん》だ、縛《くゝ》り上げて置いた、無法なことをするなア、そんなら仕方がない、兎も角|此処《こゝ》へ連れて来てくれぬか」
暫く経ちますると、「助けて/\、何《ど》うかお慈悲を/\」と叫び狂う婦人を連れてまいりました。数多《あまた》の罪人が揃《そろ》って居りますのを見て、その婦人は色を失って居ります。文治は遠くより声をかけまして、
文「これ/\手荒いことをするな、
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