@平林「其の方は何者か」
 文「恐れながら申上げ奉ります、手前は江戸表本所業平橋の浪人者でござります、此の度《たび》流罪申付けられ、只今御島内へ到着いたした者でござります、もとより島内の御様子を知ろう筈《はず》もございませぬが、数多《あまた》の罪人どもが死者狂いの大騒ぎ、何事やらんと取押えまして様子を承わりましたる所、何かお上《かみ》よりのお手当に就《つ》きまして不服を抱《いだ》き、大勢徒党いたしましたる様子、以《もっ》ての外《ほか》の事、不届至極と一応取鎮め置きまして、歎願にまかり出でた次第でござります、承われば罪人の内三人の総代をお留置《とめおき》に相成り候由、非道のおん事も是れ有るまじくとは存じますが、残り一同の罪人どもは、何《ど》のような扱いを受けて居《お》るかも知れぬと心配いたして居りますに依《よ》って、何卒《なにとぞ》お留置に相成ります三人の総代をお免《ゆる》し下さいまするよう、さすれば一同の悦び如何《いか》ばかりかと存じます、併《しか》し一旦騒ぎ立ち候う段は如何にも不届至極の振舞でございます故、御法に照しての御処分は余儀なき次第でございます、くれ/″\もお慈悲を以《もっ》
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