予ての約束通り百両の金の抵当《かた》に一時女房お村を預けて置きました、それから漸《ようや》く百両の金を算段して持参いたし、女房と証文を返してくれと申入れました処、その証文|面《めん》の百という字の上に三の字を加筆いたし、いや百両ではない、三百両だ、もう二百両持って来なければ女房を返す訳には行《ゆ》かぬと云って、只百両の金を捲上《まきあ》げてしまいました、余りの事に友之助が騙《かた》りめ泥坊めと大声を放って罵《のゝし》りますと、門弟どもが一同取ってかゝり、友之助を捕縛《ほばく》して表へ引出し、さん/″\打擲《ちょうちゃく》した揚句《あげく》の果《はて》、割下水の大溝《おおどぶ》へ打込《うちこ》み、木刀を以《も》って打つやら突くやら無慙至極《むざんしごく》な扱い、その折柄《おりから》何十人という多くの人立でございましたが、只気の毒だ、可愛相だというばかりで、もとより蟠龍軒の悪人なことは界隈《かいわい》で誰《たれ》知らぬ者もございませぬ故、係り合って後難《こうなん》を招いてはと皆|逡巡《しりごみ》して誰《たれ》一人《いちにん》止める者もございませぬ、ところへ丁度|私《わたくし》が通りかゝりま
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