っき》となって、
「此奴《こいつ》ら何が面白くって見に来やがった、片ッ端から将棋倒しにしてしまうぞ」
と有合《ありあわ》せたる六尺棒をぐん/\と押振廻《おっぷりまわ》して居ります。飯の上の蠅《はい》同然、蜘蛛《くも》の子を散らしたように逃げたかと思うと、また集ってまいります。其の中《うち》に与力の家来は斯《か》くと八丁堀へ知らせ、また一方は奉行所へ訴えますと、諸役人も驚いて早速駈付けました。時に表に居りました亥太郎、國藏、森松の三人は自身番へ這入りまして、
亥「えゝお役人様、蟠龍軒の屋敷へ踏込《ふんご》んで四五人の者を殺したのは私《わっち》です、何《ど》うぞ私を縛っておくんなせえ」
森「亥太郎|兄《あにい》か、そんな事を云っちゃア困るじゃねえか、お役人様、そりゃア私《わっち》の仕業で」
國「馬鹿をいうな、お前《めえ》たちは此の騒ぎで血迷うたか、己がやッつけたんだ」
文「一同静かにしろ、兎も角も御用の馬を引留めました乱暴者は私《わたくし》でござります、お手数《てかず》ながらお引立《ひきたて》の上、その次第を御吟味下さいまし」
出張の役人は文治を駕籠に乗せ、外《ほか》一同は腰
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