ナ込む太刀を受け止め、
文「女を相手にしようとは卑怯な奴じゃな、さア此の文治が相手だ」
時に見物一同声を挙げて、
「馬鹿野郎、卑怯な奴だ、叩《たゝ》ッ切ってしまえ」
乙「どうだえ、女が切られなくって宜《よ》かったなア」
丙「どうも美《い》い女だなア、あの後姿の好《い》いこと、桜の花より美くしいや、ちょっと姉《ねえ》さん、此方《こちら》を向いて顔を見せておくれ」
丁「気楽なことを云うな」
同心「これ黙れッ、やかましい」
甲「見ろ/\八丁堀が見張っているぞ、併《しか》し今日の花見は宜《い》い日だったなア、雨が降出さねえと好《い》いがな」
乙「馬鹿野郎、こんなに日が当って居《い》るじゃねえか」
甲「でも己《おれ》の頭へ露が垂れたぞ、やア今日の雨は腐っていると見えて馬鹿に臭いなア」
と後《うしろ》を振向いて見ますと、糞柄杓《くそびしゃく》を担《かつ》いだ男が居ります。
甲「この野郎め、途方もねえ野郎だ」
同心「これ百姓、静かにしろ」
見物「何《なん》だ箆棒《べらぼう》め、糞の掛けられ損か、それ打込むぞ、やア御新造|危《あぶね》え/\、此方《こっち》へお出でなせえ、や
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