オ》り取りました。
 文「いや大伴蟠龍軒、久々で逢いましたな」
 はたと睨《にら》み付けますると、後《うしろ》に笠の輪ばかり被って居りました四人の侍、「汝《おのれ》、無礼者」と刀に手をかける其の横合より、八丁堀の同心|体《てい》の人、
 「これ/\お控えなさい、舅の敵討でござるぞ、それとも尊公《そんこう》達はお助太刀なさる思召《おぼしめし》か」
 侍「いや、助太刀ではござらぬ」
 同心「左様ならお控えなさい」
 亥「やい三一、ぐず/\しやがると豊島町の亥太郎が打殺《ぶちころ》すぞ」
 同「其の方の出るところではない、お控えなさい」
 亥「何《なん》だと」
 文「おい亥太郎殿、お役人様だぞ、控えろ、さア大伴、もう斯《こ》うなったら致し方はござらぬ、侍らしく名告《なの》って尋常に勝負なさい」
 侍「何事かは知らぬが、人違いではござらぬか、よし又拙者が大伴にもせよ、敵といわれる訳はござらぬ」
 文「卑怯なことを云うな、過ぐる年|三十日《みそか》の夜《よ》、お茶の水にて小野庄左衞門を切殺し、定宗の小刀《しょうとう》を奪い取りし覚えがあろう、論より証拠、その差添《さしぞえ》は正《まさ》しく庄左衞
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