フでございます。
四十三
文治はお瀧の注進を聞きまして、飛立つばかり打悦び、
文「フーム、この十四日に蟠龍軒が權三郎方へ来るとな、辱《かたじ》けない、その大伴は十四日の何時《なんどき》頃来ますか、定めし御存じでしょうな」
女「多分昼前からまいるように申して居ったように聞きました、お帰りは確かに夕方《ゆうかた》と申しました」
文「この御親切は決して忘《わすれ》ませんぞ、さゝ、お前さんは人に心付かれぬように早くお帰り下さい、お礼は後《あと》で致します」
女「何《ど》う致しまして、そんなお心遣《こゝろづか》いには及びません、左様なら旦那様、追ってまた私《わたくし》からお礼をいたします」
文「それこそ無用、これが何よりの礼だ、この文治は生れてより是れ程悦ばしいお礼を受けた事はござらぬ、千万辱けのう存じます」
と両手を支《つ》いて居ります。
女「旦那様、それでは恐入ります、何《ど》うぞお手をお上げ下さいまし」
文「御主人……御主人」
主「はい/\、すっかり聞きました、さアお使《つかい》なら何処《どこ》へでもまいります」
文「御老人を使うは心ないようでござるが、大切の
前へ
次へ
全222ページ中205ページ目
小説の先頭へ
文字数選び直し
三遊亭 円朝 の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ
登録
ご利用方法
ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング