の馬の前に寄付《よりつ》き、罪人の顔を見ますと、今度は俯向《うつむ》いていまして少しも顔が見えませんけれども、友之助に相違ありませんから、文治は麻※※[#前の「※」は「ころもへん+上」、後の「※」は「ころもへん+下」、273−5]《あさがみしも》長大小《なが[#「なが」は底本では「なだ」と誤記]だいしょう》のまゝ馬の轡《くつわ》に飛付く体《てい》を見るより附添《つきそい》の非人《ひにん》ども、
「やい/\何を為《し》やがる、御用だ/\」
亥「やい乞食《こじき》めら、静かにしろえ」
非「やア豊島町のがむしゃら[#「がむしゃら」に傍点]だぜ」
と怯《ひる》んで居りますところへ、与力が馬上にて乗付けまして、
与「これ/\其の方《ほう》は何をするのか、御用だ、控えろ」
と制する言葉に勢《いきおい》を得て、非人どもが文治を突退《つきの》けようと致しますると、國藏、森松の両人が向う鉢巻、片肌脱《かたはだぬ》ぎ、
両人「この乞食め、何を小癪《こしゃく》なことを為《し》やがる、ふざけた事をすると片ッ端《ぱし》から打殺《ぶちころ》すぞ」
さア江戸橋|魚市《うおいち》の込合《こみあい》の真
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