を伴い、其の他の見送り人は散り/″\に立帰りました。丁度江戸橋へ掛ってまいりますと、朝の巳刻《よつ》頃でございますが、向うから友之助が余程の重罪を犯したものと見えて、引廻しになってまいります様子、これは友之助の罪状が定《きま》って、小伝馬町《こでんまちょう》の牢屋の裏門を立出《たちい》で、大門通《おおもんどおり》から江戸橋へ掛ってまいりましたので、角の町番屋にて小休みの後《のち》、仕置場へ送られるのでございます。
五
文治が先に立って江戸橋へ向って参りますと、真先《まっさき》に紙幟《かみのぼり》を立て、続いて捨札《すてふだ》を持ってまいりますのは、云わずと知れた大罪人をお仕置場へ送るのでございます。文治は何気なく正面から罪人を見ますと、紛《まご》う方《かた》なき友之助ですから、はて不思議と捨札を見ると、「京橋銀座三丁目当時無宿友之助二十三歳」と記してありまして、「右の者|去《さ》んぬる六月十五日本所北割下水大伴蟠龍軒方へ忍び込み、同人舎弟を始め外《ほか》四人の者を殺害《せつがい》致し候者也《そうろうものなり》」と読むより、左《さ》なきだに義気に富みたる文治、血相を変えて引廻し
前へ
次へ
全222ページ中20ページ目
小説の先頭へ
文字数選び直し
三遊亭 円朝 の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ
登録
ご利用方法
ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング