からの騒ぎで飯を炊くのを忘れたア」
 町「いゝえ、私が炊いて置きましたよ、さア亥太郎さん召上れ」
 亥「こりゃア勿体《もったい》ねえな、やい森公、貴様は相変らず馬鹿だな」
 森「こりゃア己の十七番だ」
 亥「それも違ってらア、馬鹿野郎」
 それから手を分けて仏の取片付《とりかたづけ》をいたしまして、葬式はいよ/\明後日と取極めました。藤原喜代之助は明日御登城のお供がありますから、夜《よ》の中《うち》に屋敷へ帰りまして、翌朝重役へ、
 藤「明日お供を致します筈でござりますが、親戚《しんせき》に忌中これあり、如何《いかゞ》致しましょうや」
 と伺い出でますると、何《ど》ういう都合でござりますか、藤原は明後日葬式を菩提寺《ぼだいじ》まで見送ることが出来ませんので、その翌晩|通夜《つや》をいたし、翌早朝葬式を途中まで見送って、自分は西丸下へ帰り、お葬式《とむらい》は愛宕下《あたごした》青松寺《せいしょうじ》で営みまして、やがて式も済みましたから、文治は※※[#前の「※」は「ころもへん+上」、後の「※」は「ころもへん+下」、272−4]《かみしも》のまゝ愛宕下を出まして、亥太郎、國藏、森松の三人
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