サちは國藏ではないか」
 國「旦那様、漸《ようよ》うのことで尋ね当てました、これは御新造様御無事で」
 町「おや、國藏さんですか」
 國「まア何《ど》うしてお二人が斯様《こん》な処に、夢じゃアありますまいなア、私《わっち》やア嬉しくって耐《たま》らねえ」
 文「まア其方《そち》は何うして斯様な処へ来たのか」
 國藏は涙を払い、
 國「話しゃア長《なげ》えことですが、一昨年の秋中《あきじゅう》、旦那が越後へお出でなすったと聞きやして、後《あと》を慕《した》って参《めえ》りやして、散々|此処《こゝ》らあたりを捜しましたが、さっぱり行方が分りませんので、到頭越後まで漕付《こぎつ》けやした、だん/\尋ねたところが、斯《こ》う/\いう方が何処其処《どこそこ》へ泊ったと云いやすから、其処へ往って聞きますと、二三日|前《ぜん》に沖見物をすると云って船に乗り出したと聞いて、私《わっち》アどの位《くれえ》がっかりしたか知れやせん、まご/\している内に生憎《あいにく》病気に罹《かゝ》りやして、さるお方の厄介になって居ります中《うち》に、江戸の侍が海賊を退治したという噂、幸い病気も癒《なお》りやしたから、も
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