ス《ど》う見ても人間とは思われませぬ。今日も船繕いに疲れて、夜《よ》に入《い》り木の実などを食べて、例の通り焚火の端に打倒れて一寝入りいたしますると、何者にや枕元に立って揺り起すものがあります。文治はがばと撥起《はねお》き、
文「いや、其の方は何人《なにびと》じゃ、おゝ、お町ではないか」
町「はい旦那様、ようお達者でおいで下さいました、お懐かしゅうございます」
文「ウム、町や、そちも達者でいてくれたか、まア何《ど》うして斯様《かよう》な処へまいりしぞ、して能《よ》く私《わし》の居《お》る処が知れたの」
町「はい、あの峠で端なくも貴方にお別れ申してから、さま/″\の艱難辛苦《かんなんしんく》をいたしましたが、それでも神様のお助けで、虎の顎《あぎと》を遁《のが》れまして、再び貴方にお目に懸ることが出来ました、これと云うのも矢張《やっぱり》神様のお助けでございます」
文「まア何は扨置《さてお》き、明暮《あけくれ》其方《そち》のことを案じぬ日とてはなかった、宜《よ》く達者でいてくれた、人も通わぬ無人島、再び其方に逢うというのは斯《こ》んな嬉しいことはない」
町「はい、貴方もお達者で
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