文「やッ、これは面白い」
 と其の鳥を押えますと、平生人の居りませぬ島でありますから、少しも人を恐がる様子もなく、馴々しく手の上へも止ります。
 文「これは好《よ》い鳥を見付けたわい」
 とそれから二三の鸚鵡を押えて、住居《すまい》へ持帰りまして、「旦那様か、お町でございます」などと口真似をさせるのが何よりの楽《たのし》み。日々鸚鵡を話相手同様にして其の日/\を送って居りましたが、何分にも島には虫が多く居りまして、少しも火を絶やすことが出来ませぬ、昼夜とも焚火をして其の側に寝起《ねおき》して居りまする。虫が多いくらいですから、夏は随分暑うございますが、冬は案外暖かく、寒中でも四月頃の陽気であります。月日の絶《た》つのは早いもので、早くも一箇年《いっかねん》を過ぎました。待てど暮せど人も来ず、身の上にも別に変りたる事もなく、食物《しょくもつ》を漁《あさ》るの外《ほか》は日々船繕いに余念なく、無事に大海《たいかい》へ乗出すことの出来るようにと工夫する外には何《なん》の考えもございませぬ。此の島へ上《あが》ってから最早《もう》一年余になりますから、着物は切れ、髯《ひげ》はぼう/\として、
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