、ぞ助けて給われかし」
 と熊の傍《そば》に寄り添いまして、
 町「さア穴の方へ往《ゆ》けよ、さア/\」
 と追いやる如く引立つれば、熊は頷《うなず》く様子にてお町の顔を一度見て、一散走《いっさんばし》りに谷間の方へ駈け出します。
 町「それ撃たれなよ」
 と云う間《ま》もあらばこそ、一発ズドンと打放《うちはな》しました。お町は熊を見返りまして、
 町「やれ撃たれしか」
 と云う間にまた一発放ちました。さてお話変って、文治の漂い着きました無人島は、佐渡を離れること南へ何百里でございますか、島の大きさも確《しか》とは分りませぬが、白鳥、鸚鵡《おうむ》、阿呆鳥などいう種々《しゅ/″\》の鳥が沢山居ります。文治は尋ねあぐみて殆《ほとん》ど気絶の体《てい》でございましたが、暫くして我に返り、
 文「あゝ天|何故《なにゆえ》に我を斯《か》くまで懲らしめ給うか、身に悪事をなしたる覚えなきに、如何《いか》なれば斯く我を苦しめ給うぞ、世にある時は人を助け、人のために人を懲《こら》しもし、また彼《あ》の友之助を助けるために蟠龍軒の屋敷へ踏入り、悪事加担の奴ばらを切殺したりとは云いながら、これ私慾のためな
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