sど》うか楽に成仏《じょうぶつ》の出来ますよう、念仏の一つも唱えて下せえまし」
 文「ウーム、殊勝《しゅしょう》な心掛《こゝろがけ》じゃ、時に吉とやら、そちの親方という新潟の沖にて親船に乗って居《お》る奴は何《なん》という名で何処《どこ》の国の者か」
 吉「私《わっち》も根からの海賊じゃアござんせぬ、新潟在の堅気《かたぎ》の舟乗《ふなのり》でござんしたが、友達の勧めに従って不図《ふと》した事から海賊の手下となり、女でござれ金品でござれ、見付け次第に欺《だま》したり剥取《はぎと》ったりして親船へ持運びして、女の好《い》いなア頭《かしら》の妾、また頭の気に入らぬ女は寄って群《たか》って勝手にした其の上に、新潟の廓《くるわ》へ売飛ばすという寸法で、悪事に悪事を重ねる中《うち》、去年の秋から一人の剣術|遣《つか》いが来て、頭を毒殺して其の子分を手下に従え、以前に優《まさ》る悪業《あくぎょう》、今じゃア其の侍が頭でござりやす、悪事に悪事を重ねた私《わっち》ども、此の苦しみを受けるのは天道様の罰《ばち》でござりやす、おゝ苦しい、旦那様早く殺して下さいまし」
 と両手を合せたまゝ悶《もだ》え苦《くる
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