熏s《ゆ》けば国か島かへ上《あが》れるものを、一体|何《ど》うしたのか知らん」
吉「今、私《わし》どもが喰った弁当は宿屋から呉れましたか、それとも小頭《こがしら》か、いやさ彼《あ》の相宿《あいやど》の者がくれたのですか」
文「飛脚体《ひきゃくてい》の旅人が折角くれると云うから貰って来た」
吉「えッ、あの相宿の飛脚から……やアしまった、秋田屋の印《しるし》の重箱だから、腹の減ったまぎれに油断して喰ったのが……」
文「なに、油断して喰った、それじゃア相宿の飛脚は怪しい者か」
吉「旦那、これが因果応報というのでござんしょう、何《なん》だか私《わっち》も腹が痛くなりました、済まねえが旦那|気付《きつけ》を一服下せえまし」
文「やア其方《そち》も腹痛か」
吉「旦那、大変な事をいたしました、真ッ平《ぴら》御免下せえまし、実は私《わっち》らは海賊の手下でござんす、あの旅人に姿を扮《やつ》していたなア小頭の八十松《やそまつ》という者で、貴方を親船へ連れて往って、懐中にある百両余りの金と大小衣服を剥ぎ取って、事に依《よ》ったら貴方をば手下にするか、殺すかしてと相談しましたが、一昨日《おとゝ
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