sあくるひ》は意を決して新潟へ往《ゆ》く支度をして居ります。御案内でもございましょうが、十六里、十五里とも川舟《かわふね》で、夜に掛って往くのでございます。

  二十七

 さて文治は漸《ようや》く新潟に着きまして、古手町《ふるてまち》秋田屋清六《あきたやせいろく》方へ泊り、早速主人を呼びまして、
 文「御主人|外《ほか》の事ではないが、自分は仔細あって当地の海辺を見物したいと思うが、船の都合は何《ど》ういうものであろうな、それに就《つい》て途中で様子を聞くと、海賊が船中に忍んで居って此の辺を荒すということだが、そんな事もあるものかな」
 主「左様さまでしけえ、そんな噂をしやすもんな有りやすが、誰も是だアと云うものを見たもんが無《ね》えすけに、まア分りやしねえ」
 文「併《しか》し、そんな噂をいたす者もあるかなア」
 主「いえはアえらく有りやす、お上様《かみさま》でもえれい船頭と剣術|遣《つか》いが有らば宜《よ》いと、尋ね居《お》るだてえ話がありやした」
 文「噂があれば尚更のこと、海辺見物の船を出して貰いたいが、何《ど》うじゃな」
 主「いえ、それが往《い》けやしねえ、二三日沖は荒
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