オょうか」
文「これはしたり、それが知れぬからお前さんに尋ねるので……」
旅「はア左様けえ」
文「外《ほか》のお客様にお尋ねしますが、此の辺では左様なことが度々《たび/\》あるのでござりましょうか」
乙「どうも此の辺は物騒な処で、冬向《ふゆむき》女連《おんなづれ》や一人旅では歩けませぬ、折々|勾引《かどわか》しや追剥が出ます」
文「成程、その品物や女は何処へ売捌《うりさば》くのですか、御存じありますまいか」
旅「まア重《おも》に新潟へ捌くそうで、何しろ新潟は広いから、一寸《ちょっと》気が付きませんからな」
丙「此の間新潟の者の話に、海賊の大将が沖にいて、その子分達が女や金を奪って持ち運ぶとかいうことで、それで此の頃御領主様から船頭の達者なものと剣術の先生を欲しいと云って、江戸屋敷へ御沙汰になったそうでございます」
文「成程、これから新潟へ往《ゆ》くには船で往く方が便利でしょうな」
旅「はい、これから船で十六里、長岡へ着きまして、それから又船で十五里、信濃川《しなのがわ》を下《くだ》って新潟へ着くのでございます」
文「左様か、それは千万|辱《かたじ》けない」
と翌日
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