と決って居《お》るから追って又取調べるであろう、何しろ三四《さんし》の番屋へ送って置け」
この三四の番屋と申しますのは本材木町《ほんざいもくちょう》三四丁目の町番屋にて、この番屋には二階があって常の自身番とは違い、余程厳しく出来て居ります。町番屋とは申しながら重《おも》に公用に使ったものでございます。尚《な》お小林藤十郎殿は林藏に向いまして、
小「これ林藏、立花屋源太郎の縄を解いて家主《いえぬし》へ引渡せ」
林「はゝア、おい差配人《さはいにん》、不都合のないように預かり置け、友之助立てえ」
其の儘《まゝ》駕籠に乗せて本材木町の番屋を指《さ》して出て往《ゆ》きました。お話別れて、此方《こちら》は文治の宅、母は九死一生で、家内の心配|一方《ひとかた》ならず、折《おり》から訪れ来《きた》る者があります。
「えゝ頼む」
森松「やアこれは/\何方《どなた》かと思ったら藤原様、どうも大層お立派で……お萓《かや》様も御一緒ですか宜《よ》うおいでゝございます」
藤「お母様《ふくろさま》は」
森「いやもう、お悪いの何《なん》のじゃアございません、何《ど》うも今の様子じゃおむずかしゅうござ
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