繧ュ》へ来たの、此処《こゝ》で下《おろ》してくれ」
 舁「旦那え、余りお早いじゃアありませんか、此の通りの道で只《たっ》た二里八丁、二居宿《ふたいじゅく》まで遣《や》りましょう、それとも日のある中《うち》にお泊りなせえますか、ねえ奥様、如何《いかゞ》で」
 町「旦那様、貴方さえ宜しくば私《わたくし》は一宿も先へまいる方が宜しゅうございます」
 舁「えゝ旦那え、二三|日《ち》中《うち》に大雪かも知れませんぜ、雪の無《ね》え中に峠を越した方が宜しゅうござんしょう」
 文「左様か、二里三里思案したところで足しにもなるまい、舁夫、急いでやるかな」
 舁「へえ、有難う存じます、さア此の肩で棒組、確《しっ》かりしろよ」
 棒組「よし、どっこいさ、旦那少し急ぎましょう」
 文治は二居までに峠はあるまいと思いますと、此の二里八丁の路《みち》は山ばかりで中々登るに骨が折れます。さりとて途中で引返《ひっかえ》すことも出来ず、駕籠に附いてまいります中《うち》に、吹雪が風にまじって顔へ当ります。舁夫は慣れて居りますから、登るに従って却《かえ》って足が早うございます。やがて火打坂《ひうちざか》と申す処へ来かゝり
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