キが二百|文《もん》下さいまし、後《あと》の宿《しゅく》で一口やって最早《もう》一文なしでござりやす、えゝ、もう向うへ浅貝が見えます、それから只《たっ》た二里八丁、今までのような山阪《やまさか》ではござりません、えゝ奥様え、お足から血が出ましたね」
 と二人の舁夫は煩《うる》さく附纒《つきまと》うて勧めて居ります。

  二十三

 文治はお町の足から血が出ると聞きまして、
 文「町、何《ど》うした、足が冷《ひえ》るから一寸《ちょっと》躓《つまず》いても怪我をする、大分《だいぶ》血が出るな、足袋《たび》を脱いで御覧」
 町「いゝえ、少しも痛みはしません、何《なん》の貴方、長い旅に是しきの事で然《そ》う御厄介《ごやっかい》になりましては、思ったことが遂げられませぬ」
 文「これ/\舁夫《かごや》、駄賃《だちん》は幾許《いくら》でもやるから浅貝の宿《しゅく》までやって呉れ」
 舁「へえ/\、なアに駄賃なんざア一合で宜しゅうござりやす、さア奥様お召しなせえ、駕籠の中でお足を御覧なせえまし、大した疵《きず》じゃアございやせん」
 と急いでまいりますと、程なく浅貝宿。
 文「御苦労々々もう宿《し
前へ 次へ
全222ページ中107ページ目


小説の先頭へ
文字数選び直し
三遊亭 円朝 の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ 登録 ご利用方法 ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング