とお察し申します、入らざる事と思召《おぼしめ》すかしらんが、尊公の代りに手前が出ましたら如何《いかゞ》で」
織「これは何《なん》ともはや、折角の思召ではござるが、先方では柄《え》のない所へ柄をすげて申掛けを致すのだから、貴殿へ御迷惑が掛っては相済まん折角の御親切ではござるが、平《ひら》にお捨置きを願いたい」
浪人「いえ/\、手前は無禄無住《むろくむじゅう》の者で、浪々の身の上、決して御心配には及びません、御主名《ごしゅめい》を明《あか》すのを甚《ひど》く御心配の御様子、誠に御無礼な事を申すようでござるが、お嬢様を手前の妹の積りにして、手前は不加減で二階に寝ていたとして詫入れゝば宜しい」
織「何ともそれでは恐入ります事で、併《しか》し御迷惑だ……」
浪「その御心配には及びませんから手前にお任せなされ」
と提《ひっさ》げ刀で下へ下《おり》ると、三人の悪浪人《わるろうにん》はいよ/\哮《たけ》り立って、吸物椀を投付けなど乱暴をして居ります所へ、
浪人「御免を……」
甲「何だ」
浪人「手前家来が不調法をいたしまして、妹がお詫に出ました由《よし》怪《け》しからん事で、女の身でお詫をいたし、却《
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