の後《あと》に附いて悄々《しお/\》と二階を下りる。此方《こちら》は益々|哮《たけ》り立って、
甲「さア何時までべん/\と棄置くのだ、二階へ折助《おりすけ》が昇《あが》った限《ぎ》り下りて来んが、さ、これを何う致すのだ」
 と申して居《お》るところへお竹がまいり、しとやかに、
竹「御免遊ばしませ」
甲「へえお出でなさい、何方《どなた》さまで」
竹「只今は家来共が不調法をいたして申訳もない事で、何も存じません田舎者ゆえ、盗《と》られるとわるいと存じまして、草履を懐へ入れて居《お》って、つい不調法をいたし、御立腹をかけて何とも恐入ります、少し遅く成りましたから早く帰りませんと両親が案じますから、何卒《なにとぞ》御勘弁遊ばしまして、それは詰らん包ではございますが、これに成り代りまして私《わたくし》からお詫を致します事で」
甲「どうも是は恐入りましたね、是はどうも御自身にお出《い》では恐入りましたね、誠にどうもお麗《うる》わしい事でありますな、へゝゝ、なに腹の立つ訳ではないが、ちょっと三人で花見という訳でもなく、ふらりと洗湯《せんとう》の帰り掛けに一口やっておる処で、へゝゝ」
竹「家来どもが不
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