ぶしん》がございまして、人足を雇い、お作事《さくじ》奉行が出張《でば》り、本山寺へ入らっしゃいまして方々御見分が有ります。其の頃はお武家を大切にしたもので、名主年寄始め役人を鄭重《ていちょう》に待遇《もてな》し、御馳走などが沢山出ました。話の序《ついで》に彼《か》の皿塚の事をお聞きになりまして、山川廣《やまかわひろし》という方が感心なされて、
山「妙な奴もあるものだ、其の權六という者は何処《どこ》に居《お》る」
とお尋ねになりますと、名主が、
名「へえ、それは当時遠山と申す浪人の娘のお千代と云う者と夫婦になりまして、遠山の家名を相続して居ります、至って醜男《ぶおとこ》で、熊のような、毛だらけな男でございますが、女房はそれは/\美くしい女で、權六は命の親なり、且《かつ》其の気性に惚れて夫婦になりたいと美人から望まれ、即《すなわ》ち東山作左衞門が媒妁人《なこうど》で夫婦になり親子睦ましく暮して居ります、東山のつい地面内へ少しばかりの家を貰って住んで、農業を致し、親子の者が東山のお蔭で今日では豊かに暮して居ります」
と聞いて廣は猶々《なお/\》床《ゆか》しく思い、会いたいと申すのを名主が
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