御家督と云えばお快くないから御臨終《ごりんじゅう》が悪かろうと思う、どうもお四才《よっつ》でもお血統はお血統、若様を御家督にするが当然かと心得るな」
祖「是は御家老様にお似合いなさらんお言葉で、紋之丞様が御家督相続に相成れば、万事御都合が宜しい事で、お舎弟様は文武の道に秀《ひい》で、お智慧も有り、先《ま》ず大殿様が御秘蔵の御方《おんかた》度々《たび/\》お賞《ほ》めのお言葉も有りました事は、父から聞いて居ります」
數「それはお前たちの知らん事、何でも菊様に限る」
大「えゝ、松蔭横合より差出ました横槍を入れます、これは春部氏祖五郎殿の申さるゝが至極|尤《もっと》もかと存じます、菊様は未《いま》だお四才《よっつ》で、何のお弁《わきま》えもない頑是《がんぜ》ない方をお世嗣《よとり》に遊ばしますのも、些《ち》と不都合かのように存じます、菊様御成人の後は兎も角こゝ十四五年の間は梅の御印様《おしるしさま》が御家督になるのが手前に於《おい》ては当然かと、憚《はゞか》りながら存じます」
數「然《そ》うじゃアあるまい」
大「いや/\それは誰が何と申しても左様かと心得ます」
福原數馬は俄《にわか》に面色
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