《ま》だお四才《よっつ》かお五才《いつゝ》で御頑是《ごがんぜ》もなく、何|弁《わきま》えない処のお子様でございますから、万々一《まん/\いち》大殿様がお逝去《かく》れに相成った時には、お下屋敷にならせられる紋之丞様より他に御家督御相続のお方は有るまいかと存じます」
數「それは些《ち》と違うだろう、菊様はお血統《ちすじ》だ、仮令《たとえ》お四才《よっつ》でも菊様が御家督にならなければなるまい、御舎弟を直すのは些と道理に違って居《お》るように心得る」
梅「いや、それは違って居りましょう」
數「違っては居らん」
梅「併《しか》しお四才《よっつ》になる者を御家督になされば、矢張《やっぱり》御後見が附かなければなりません、それよりは矢張《やっぱり》お下屋敷の御舎弟紋之丞様が御家督御相続になって、菊様追々御成人の後《のち》、御順家督《ごじゅんかとく》に相成るが御当然《ごとうぜん》のことゝ存じます」
數「いや/\然《そ》うでない、お血統《ちすじ》は別だ、誰しも我子は可愛もので、御実子《ごじっし》を以《もっ》て御家督相続と云えば殿様にもお快くお臨終が出来る、御兄弟の御情合も深い、深いなれども御舎弟様が
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