悪い事でございますが、構わんから参れと、御家老の仰せを受けて罷出《まかりで》ました、貴方様には追々《おい/\》御出世、蔭ながら悦び居ります」
祖「祖五郎も蔭ながら、貴方様の御出世は父織江がお世話致した甲斐がござると蔭ながら悦び居ります、今日《こんにち》は思掛けなく御面会を致しました、此の後《ご》共御贔屓を願いとう……斯様な御酒宴のございます節には必ずお招きを願います」
竹「松蔭さま暫く、竹でございます」
大「これはお竹さま、これは実に妙でげすな」
數「いや実に妙だ、芸者は帰したら宜かろう、却《かえ》って此処《こゝ》にいると屋敷の話も出来んから、取急いで秋田屋芸者共を早く帰せ/\」
番頭「へえ/\」
 と急に船に載せて帰しました、
數「さ、こゝへ来て昔の話をしよう、この祖五郎の父織江は福原別懇であった、忠義無二な男であったが、武運|拙《つたな》くして谷中瑞麟寺の藪蔭で何者とも知れず殺害《せつがい》され、不束《ふつゝか》の至りによって永《なが》のお暇《いとま》を仰付けられ、討ったる敵《かたき》が知れんというが、さぞ残念であろう」
祖「はっ、誠に残念至極で」
 と眼に涙を浮《うか》めてお竹と
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