は春部梅三郎じゃ、不調法があってお暇になり、浪人の活計《たつき》に迫り、自分も好きな所から能役者となりたいと、何うやら斯うやら今では能役者でやって居《お》るそうだ、これは祖五郎の姉だ、器量も好《よ》いがお屋敷へ帰るまでは何処《どこ》へも嫁付《かたづ》くことは否《いや》だと、皷を打ったり、下方《したかた》が出来る処から出入町人の亭主に心安い者があって、其処《そこ》にいると云うが、今日《こんにち》は幸いな折柄で、どうか又贔屓にして斯ういう事が有ったら前々《まえ/\》屋敷にいた時の馴染もあるから呼んでやってくれ」
大「これは思掛けない事で、祖五郎殿にも春部氏にも暫《しばら》く……」
 と松蔭も腹の中では驚きました。
大「えゝ、只今は何処《どこ》に」
數「いや、国へ尋ねて来た、それからま何うするにも仕方がないから、奈良|辺《あたり》で稽古をして、此方《こちら》へ出て来たので、是からが本当の修業じゃ、さア/\一盃《いっぱい》/\」
梅「松蔭殿、面目次第もない、尾羽打枯した浪人の生計《たつき》、致し方なく斯様な営業《なりわい》をいたして居り、誠に恥入りました訳で、松蔭殿にお目通りを致しますのも間の
前へ 次へ
全470ページ中457ページ目


小説の先頭へ
文字数選び直し
三遊亭 円朝 の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ 登録 ご利用方法 ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング