は図らず御面会を致しました、手前は松蔭大藏で……好《よ》い折柄、此の後とも御別懇に……御家老|此《こ》れは濱名左傳次と申す者で、小役人でございましたが、図らず以上に仰付けられ、今日《こんにち》は何うかお目通りを致しまして、何かのお話を承われば身の修行だと申して居ります、武骨ではござるが洒落《しゃれ》た口もきゝ、皺枯《しゃがれ》っ声で歌を唄い、面白い男ゆえお目をお掛け遊ばして、何分お引立を」
數「はい/\、中々様子の好《よ》い男、なれども近い処だと宜《よ》いがの、上屋敷までは遠いから、どうか些《ちっ》と早く帰りたいがの」
大「いえ、今晩は小梅のお中屋敷へ御一泊遊ばしては如何《いかゞ》、寺家田《じけだ》の座敷が手広でござる、彼《あれ》へ御一泊遊ばしますように、是から虎の門までお帰りになっては余り遅うなりますから」
數「それは宜かろう」
大「じゃア早く/\」
 と是からお吸物に結構な膳椀で、古赤絵《ふるあかえ》の向付《むこうづ》けに掻鯛《かきだい》のいりざけのようなものが出ました。続いて口取《くちとり》焼肴《やきざかな》が出る。数々料理が並ぶ。引続いて出て来ましたのは深川の別嬪《べっぴん》で
前へ 次へ
全470ページ中449ページ目


小説の先頭へ
文字数選び直し
三遊亭 円朝 の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ 登録 ご利用方法 ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング