いまして、探幽《たんゆう》の山水が懸り、唐物《からもの》の籠《かご》に芙蓉《ふよう》に桔梗《ききょう》刈萱《かるかや》など秋草を十分に活《い》けまして、床脇の棚|等《とう》にも結構な飛び青磁の香炉《こうろ》がございまして、左右に古代蒔絵《こだいまきえ》の料紙箱があります。飾り付けも立派でございまして、庭からずうと見渡すと、潮入《しおい》りの泉水《せんすい》になって、模様を取って土橋《どばし》が架《かゝ》り、紅白の萩其の他《た》の秋草が盛りで、何とも云えん好《よ》い景色でございます。饗応を致しますに、丁度宜しい月の上《あが》りを見せるという趣向。深川へ申付けました芸者は、極《ごく》頭《あたま》だった処の福吉《ふくきち》、おかね、小芳《こよし》、雛吉《ひなきち》、延吉《のぶきち》、小玉《こたま》、小さん、などという皆其の頃の有名の女|計《ばか》り、鳥羽屋五蝶《とばやごちょう》に壽樂《じゅらく》と申します幇間《たいこもち》が二人、是《こ》れは一寸《ちょっと》荻江節《おぎえぶし》もやります。荻江喜三郎《おぎえきさぶろう》の弟子だというので、皆|美々《びゞ》しく着飾って深川の芸者は只今の芸者と違
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