いまして、長箱《ながばこ》で入りましたもので、大概橋場あたりで言付ければ残らず船でまいりまして、着換えなど沢山着換えまして、髪は油気なし、潰《つぶ》しという島田に致しまして、丈長《たけなが》と新藁《しんわら》をかけまして、笄《こうがい》は長さ一尺で、厚み八|分《ぶ》も有ったと「う、長い物を差して歩いたもので、狭い路地などは通れませんような恐ろしい長い笄で、夏|絽《ろ》を着ましても皆|肌襦袢《はだじゅばん》を着ませんで、深川の芸者ばかりは素肌へ着たのでございます。裾模様《すそもよう》が付いて居ります、紅《べに》かけ花色、深川鼠、路考茶《ろこうちゃ》などが流行《はや》りまして、金緞子《きんどんす》の帯を締め、若い芸者は縞繻子《しまじゅす》の間に緋鹿《ひが》の子《こ》をたゝみ、畳み帯、挟《はさ》み帯などと申して華やかなこしらえ、大勢並んで、次の間にお客様のおいでを待って居ります。秋田屋清左衞門の番頭も、其の頃大名の御家老などが来ると家《いえ》の誉《ほま》れ名聞《みょうもん》だというので、庭の掃除などを厳しく言付けぐる/\見廻って居ります。そらおいでだと云ってお出迎いをいたし、
番「えゝ、いら
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