を差した奴がうろつか/\して、御寝所の縁の下などへ入《へい》る奴があるだ、過般《こねえだ》も私がすうと出たら魂消《たまげ》やアがって、面《つら》か横っ腹か何所《どっ》か打ったら、犬う見たように漸《ようよ》う這上ったから、とっ捕《つか》めえて打ってやろうと思う中《うち》に逃げちまったが、爾《そ》うして気を付けたら私はこれを忠義かと心得ます、他《ほか》の事は遠慮を致しますが、忠義の遠慮は出来ねえ、忠義というものは誠だ誠の遠慮は何うしても出来ません、夜《よる》巡《まわ》ることは別段誰にも言付かったことはない、役目の外《ほか》だ、私も眠いから宅《うち》で眠れば楽だ、楽だが、それでは済みませんや、大恩のある御主人様の身辺《あたり》へ気を付けて、警護をしていることを遠慮は出来ませんよ、無理な話だ、巡《まわ》ったに違《ちが》えねえ、それでもまだ遠慮して外庭ばかり巡って居りまオた、すると勘八の野郎が……勘八とは知んねえだ初まりは……犬う斬ったから野郎と押えべいと出たわけさ、それに違《ちげ》えねえでございますよ、はいそれとも忠義を遠慮をしますかな」
と弁舌|爽《さわや》かに淀みなく述立てる処は理の当然
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