ねえ、其の中《うち》に御用の間を欠いた、やれ何《なん》の彼《か》のと廉《かど》を附けて長《なげ》え間お役所へ私は引出されただ、二月《にぎゃつ》から四月《しがつ》までかゝりましたよ、牢の中へ入《へい》ってる有助には大層な手当があって、何だか御重役からお声がゝりがあるって楽《らく》うしている、私は押込められて遠慮だ/\と何を遠慮するだ私の考《かんがえ》では遠慮というものは芽出度い事があっても、宅《うち》で祝う所は祝わねえようにし、又見物遊山非番の時に行きたくても、其様《そん》な事をして栄耀《えよう》をしちゃアならんから、遠慮さ、又|旨《うめ》え物を喰おうと思っても旨え物を喰って楽しんじゃアどうも済まねえと思って遠慮をして居ります、何も皆遠慮をしているが私が毎晩《めえばん》/\御寝所|近《ぢけ》えお庭を歩いているは何の為だ、若殿様が御病気ゆえ大切に思えばこそだ、それに御家来の衆も毎晩《めえばん》のことだから看病疲れで眠りもすりゃア、明方《あけがた》には疲れて眠る方も有るまい者でもねえ、其の時怪しい者が入《へい》っちゃアならねえと思うからだ、此の程は大分|貴方《あんた》顔なんど隠しちゃア長い物
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