けて時々お庭を廻れと云われましたんでございます、それゆえ致しました、此処《こゝ》においでなさいます主人の御舎弟四郎治様も爾《そ》う仰しゃったのでございます」
目「うむ、四郎治其の方は此の者に申付けたとの申立《もうしたて》じゃが、全く左様か」
四「えゝ、お目付へ申上げます、実は兄五郎治は此の程お上屋敷のお夜詰《よづめ》に参って居ります、と申すは、大殿様御病気について、兄も心配いたしまして、えゝ、番でない時も折々は御病気伺いに罷《まか》り出《い》で又御舎弟様も御病気に就《つ》きお夜詰の衆、又御看護のお方々もお疲れでありましょう、又疲れて何事も怠り勝の処へ付入《つけい》って、狼藉者《ろうぜきもの》が忍入るような事もあれば一大事じゃから、其の方|己《おれ》がお上屋敷へまいって居《お》る中《うち》は、折々お内庭を見廻れ、御寝所近い処も見廻るようにと兄より私《わたくし》が言付《いいつ》かって居ります、然《しか》る処昨日御家老より致しまして、火急のお呼出しで寅の門のお上屋敷へ罷出《まかりで》ましたが、私は予々《かね/″\》兄より言付かって居りますから、是なる勘八に、其の方代ってお庭内を廻るが宜《よ》
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