た。
四十五
勘八は図太い奴でございますから、態《わざ》と落著振《おちつきはら》いまして、
勘「へえ、誠に恐入りましてございます。お庭内へ参りましたのは、此の頃は若殿様御病気でございまして、皆さんが御看病なすっていらっしゃるので、どうもお内庭はお手薄でございましょうから、夜々《よる/\》見廻った方が宜《い》いと主人から言いつかりました、それにお手飼の犬とは存じませんで、檜木山の脇へ私《わたくし》が参りましたら、此の節の陽気で病付《やみつ》いたと見えまして、私に咬付《かみつ》きそうにしましたから、咬付かれちゃア大変だと一生懸命で思わず知らず刀を抜いて斬りましたが、お手飼の犬だそうで、誠にどうも心得んで、とんだ事を致しました、へえ重々恐入りましてございます」
目「そりゃアお手飼の犬と知らず、他《ほか》の飼犬にも致せ、其の方陪臣の身を以《もっ》て夜中《やちゅう》大小を帯《たい》し、御寝所近い処へ忍び入ったるは怪しい事であるぞ、さ何者にか其の方頼まれたので有ろう、白状いたせ、拙者|屹度《きっと》調《しらべ》るぞ」
勘「へえ、何も怪しくも何ともないんでございます、全く気を付
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