を遊ばすとお動悸が出まして、却《かえ》って、お悪いとお医者が申しました」
紋「うむ、今日《きょう》はお兄上様からお心入《こゝろいれ》の物を下され、それを持参いたしたお使者で、平生《つね》の五郎治では無かった、誠に使者|太儀《たいぎ》」
ごろりと直《すぐ》に横っ倒しになり、掻巻《かいまき》を鼻の辺《あたり》まで揺《ゆす》り上げてしまう。仕方が無いから五郎治はそろり/\と跡へ退《さが》る。一同気の毒に思い、一座白け渡りました。
千「神原氏、余程の御癇癖お気に支《さゝ》えられん様に、我々はお少《ちい》さい時分からお附き申していてさえ、時々お鉄扇《てっせん》で打たれる様な事がある、御病中は誠に心配で、腫物《はれもの》に障るような思いで、此の事は何卒《どうぞ》上《かみ》へ仰せられんように」
五「宜しゅうございます」
老「五郎治殿、誠に今日《きょう》は遠々《とお/″\》の処御苦労に存じます、只今の事は上《かみ》へ仰せ上げられんように、何もござりませんが一献《いっこん》差上げる支度になって居りますから、あの紅葉《もみじ》の間《ま》へ」
と言われて五郎治は是を機会《しお》に其の座を退《しりぞ》きま
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