》にいた女中が殺されたような事を聞いたから、旦那様に聞いてもお前などは聞かんでも宜《よ》い事だと仰しゃるから、別段|委《くわ》しくお聞き申しもしなかったが、是は容易な事ではないよ」
と申している処へ一声《ひとこえ》高く、玄関にて、
僕「お帰りい」
村「旦那がお帰り遊ばした」
と慌《あわ》てゝお玄関へ出て両手を支《つか》え、
村「お帰り遊ばしまし」
定「お帰り遊ばせ」
富「あい、直《すぐ》に衣服《きもの》を着換えよう」
村「お着換遊ばせ、定やお召換だよ、お湯を直《すぐ》に取って、さぞお疲れで」
富「いやもう大きに疲れました、ハアーどうも夜|眠《ね》られんでな、大きに疲れました、眠《ねむ》れんと云うのは誠にいかんものだ」
是から衣服《きもの》を着替えて座蒲団の上に坐ると、お烟草盆に火を埋《い》けて出る、茶台に載せてお茶が出る。
村「毎日/\お夜詰《よづめ》は誠にお苦労な事だと、蔭ながら申して居りますが、貴方までお加減がお悪くなると、却《かえ》ってお上《かみ》のお為になりませんから、時々は外村《とむら》様とお替り遊ばす訳にはまいりませんので」
富「いや、外村と代っているよ」
村「今日《
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