こんにち》の御様子は如何《いかゞ》で」
富「少しはお宜しいように見受けたが、どうもお咳が出てお困り遊ばすようだ」
定「御機嫌宜しゅう、お上は如何でございます」
富「あい、大きに宜しい、定まで心配して居《お》るが、どうも困ったものじゃ」
村「早速貴方に申上げる事がございます、茶屋町の縫がまいりまして」
富「うん」
村「彼《かれ》が払い物だと云って小袖《こそで》を二枚持ってまいりましたから、丈《たけ》は何うかと存じまして、改める積りで解きましたところが、貴方|襟《えり》の中から斯様《こん》な手紙が出ました、御覧遊ばせ」
 と差出すを受取り、
富「襟の中から、はて」
 と披《ひら》いて読み下し、俄《にわか》に顔色を変え、再び繰返し読直して居りまする内に、何と思ったか、
富「定」
定「はい」
富「茶屋町の裁縫《しごと》をいたす縫というものは何かえ、彼《あれ》は亭主でも有るのか」
定「いえ、亭主はございません、四年|已前《あと》に死去《なくな》りまして、子供もなし、寡婦暮《やもめぐら》しで、只今はお屋敷やお寺方の仕事をいたして居りますので、お召縮緬《めしちりめん》の半纒《はんてん》などを着まして
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