上候よう両人の者|諜《しめ》し合せ居り候を、図らず私《わたくし》が立聞致し驚き入り候」
定「呆れましたね、誰でございますえ」
村「大きな声をおしでないよ、世間へ知れるとわるいわ……一大事ゆえ文に認《したゝ》め差上候わんと取急ぎ認め候え共、若《も》し取落し候事も有れば、他《た》の者の手に入《い》っては尚々お上《かみ》のために相成らずと心配致し、袷《あわせ》の襟[#「襟」は底本では「縫」]へ縫込み差上候間、添書《そえしょ》の通りお宅にてこれを解き御覧の上渡邊様方に勤め居り候|御兄様《おあにさま》へ此の文御見せ内々《ない/\》御重役様へ御知らせ下され候様願い上《あげ》※[#「まいらせそろ」の草書体、427−1]、申上度事《もうしあげたきこと》数々|有之《これあり》候え共取急ぎ候まゝ書残し※[#「まいらせそろ」の草書体、427−2]尚《な》おお目もじの上|委《くわ》しく可申上候《もうしあげべくそうろう》、芽出度《めでたく》かしく、父上様兄上様、菊…と、……菊というのは何かの、彼《あ》の新役の松蔭の処に奉公していた女中は菊と云ったっけかの」
定「私《わたくし》は存じませんよ」
村「松蔭の家《うち
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