/\とごまかすてえ事を聞いて居りますよ」
村「開けて見ようかの」
定「開けて御覧遊ばせよ」
村「面白いことが書いてあるだろうの」
定「屹度《きっと》惚気《のろけ》が種々《いろ/\》書いてありましょうよ」
悪いようだが封じが固いだけに、尚《な》お開けて見たくなるは人情で、これから開封して見ますと、女の手で優しく書いてあります。
村「…文《ふみ》して申上《もうしあげ》※[#「まいらせそろ」の草書体、426−5]…、極《きわ》っているの」
定「へえ、それから」
村「…益々御機嫌|能《よく》御暮《おくら》し被成候《なされそうろう》御事《おんこと》蔭ながら御嬉《おんうれ》しく存じ上《あげ》※[#「まいらせそろ」の草書体、426−7]」
定「定文句《じょうもんく》でございますね、併《しか》し色男の処へ贈る手紙にしちゃア改《あらたま》り過ぎてるように存じますね」
村「然《そ》うだの、左候《さそうら》えば私《わたくし》主人松蔭事ス……神原四郎治と申合せ渡邊様を殺そうとの悪だくみ……おや」
定「へえ……何ういう訳でございましょう」
村「黙っていなよ、……それのみならず水飴の中へ毒薬を仕込み、若殿様へ差
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