んがき》では大層に安い物だの」
縫「へい、お安うございます、貴方お裏は新しいものでございます」
村「何ういう訳で此《こ》れを払うというのだえ」
縫「先方《むこう》はよく/\困っているのでございます」
村「丈《たけ》や身巾《みはゞ》が違うと困るね」
縫「左様ならお置き遊ばしては何うでございます、一日ぐらいお置きあそばしても宜しゅうございます」
村「余《あんま》り縞柄が好《よ》いから、欲しいような心持もするから、置いてっておくれ」
縫「左様でございますか、じゃア私《わたくし》が今日の暮方までに参りませんければ、明朝伺いに上ります」
村「では後《あと》で好《よ》く※[#「てへん+僉」、第3水準1−84−94]《あらた》めて見よう」
是をお世話いたせば幾許《いくら》か儲かるのだから先ず気に入ったようだとお縫は悦んで帰ってしまう、後《あと》でお定を呼んで、
村「手伝っておくれ、解《ほど》いて見よう、綿は何様《どん》なか」
と段々解いて見ると。不思議なるかな襟筋《えりすじ》に縫込んでありました一封の手紙が出ました。
村「おや、定や」
定「はい」
村「此様《こん》な手紙が出たよ」
定「おや/\襟
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