どんがまいりました」
村「さ、此方《こっち》へお入り」
縫「御免遊ばしまし……誠に御無沙汰をいたしました」
村「朝晩は余程加減が違ったの」
縫「誠に滅切《めっきり》御様子が違いました、お変り様《さま》もございませんで」
村「有難う」
縫「御意に入《い》るか存じませんが、お悪ければ直します」
村「大層|好《よ》く出来ました、誠に結構……お前のは仕立屋よりか却《かえ》って着好《きい》いと旦那も仰しゃってゞ、誠に好く出来ました、大分色気も好くなったの」
縫「これは何でございます、お洗い張を遊ばしましたら滅切りお宜しくなりました、尤《もっと》もお物が宜しいのでございますから、はい仕立栄《したてばえ》がいたします」
村「久しく来なかったの」
縫「はいなんでございます、直《じき》に大門町にいる妹《いもと》ですが、平常《ふだん》丈夫でございましたが、長煩《ながわずら》いを致しましたので、手伝いにまいりまして、伯母が一人ございますが、其の伯母は私《わたくし》のためには力になってくれました、長命《ながいき》で八十四で、此の間|死去《なくな》りましたが、あなた其の歳まで眼鏡もかけず、歯も好《よ》し、腰も曲
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