の方で、お定《さだ》という女中が居ります。
村「定や/\」
定「はい」
村「あの此処《こゝ》だけを少し片附けておくれ、何だか今年のように用の遅れた事はない、おち/\土用干も出来ずにしまったが、そろ/\もう綿入近くなったので、早く綿入物を直しに遣《や》らなければならない、それに袷《あわせ》も大分《だいぶ》汚れたから、お襟を取換えて置かなければなるまい」
定「左様でございます、矢張《やはり》旦那様がお忙《せわ》しくって、日々《にち/\》御出勤になりましたり、夜もお帰りは遅し、お留守勝ですから夜業《よなべ》が出来ようかと存じますが、何だか矢張《やっぱ》りせか/\致しまして、なんでございますよ、御用が段々遅れに遅れてまいりました」
村「あの今日はお明番《あけばん》だから、大概お帰りだろうとは思うが、一時《いっとき》でも遅れると又案じられて、お上《かみ》がお悪いのではないかと、何だか私は気が落着かないよ、旦那のお帰り前に御飯を戴いてしまおうか」
定「何もございませんが、いつもの魚屋が佳《よ》い鰈《かれい》を持ってまいりました、珍らしい事で、鰈を取って置きました」
村「然《そ》うかえ、それじゃアお
前へ 次へ
全470ページ中392ページ目


小説の先頭へ
文字数選び直し
三遊亭 円朝 の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ 登録 ご利用方法 ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング