けは相変らず願います」
秋「うむ、承知いたした、一緒に帰ろうか、いや/\途中で他人《ひと》に見られると悪いから、早く行《ゆ》け/\」
源「有難うございます」
ほっと息を吐《つ》いて、ぶる/\震えながら出て、後《あと》を振返り/\二三丁行って、それからぷうと駈出して向うへ行《ゆ》く様子を見て、
秋「何も駈出さんでも宜さそうなものだ」
と笑いながら心静かに身支度をいたし、供を呼んで、是から嘉八親子にもくれ/″\礼を陳《の》べて帰られましたが、丁度八月九日のことで、川添富彌という若様附でございます、御舎弟様は夜分になりますとお咳が出て、お熱の差引《さしひき》がありますゆえ、お医者は側に附切りでございます。一統が一通りならん心配で、お夜詰《よづめ》をいたし、明番《あけばん》になりますと丁度只今の午前十時頃お帰りになるのですが、御容態《ごようだい》が悪いと忠義の人は残っている事がありますので、富彌様はお留守勝だから、御新造はお留守を守って、どうかお上《かみ》の御病気御全快になるようにと、頻《しき》りに神信心などを致して居ります。御新造は年三十で名をお村《むら》さんといい、大柄な美《い》い器量
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