も委《くわ》しいことは分るまいが……、婆嘉八とも暫時《ざんじ》彼方《あっち》へ退《の》いてくれ」
婆「はい」
と立ってゆく。後《あと》見送りて、
秋「手前も存じて居《お》る通り、只今其の方が申した医者の娘、お秋の方《かた》が儲《もう》けられた菊さまという若様がある、其の方《かた》を御家督に立てたいという慾心から、菊様の重役やお附のものが皆心を合せて御舎弟様を亡《な》き者にせんと……企《たく》むのでは有りはすまいが、重役の者一統心配して居《お》る、御舎弟様は大切のお身の上、万一《まんいち》間違でもあっては公儀へ対しても相済まんことだが、そりゃア手前も心得て居《お》るだろう、只山路が頼んだというと、山路はお秋の方の実父だから、左様なこともありはせんかと私《わし》は疑ぐる、併《しか》し然《そ》うで有るか無いか知れんものに疑念を掛けては済まんけれども、大切のことゆえ有体《ありてい》に云ってくれ、其の方《ほう》御舎弟様を大切に思うなれば云ってくれ、秋月が此の通り手を突いて頼む……な……決して手前の咎めにはせんよ、出入も元々どおりにさせ、また事に寄ったら三人扶持《さんにんふち》か五人扶持ぐらいは
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