88−63]《よう》疔《ちょう》根太《ねぶと》腫物《はれもの》のようなものに貼《つ》けます、膏薬吸出しのようなものは、斑猫のような毒が入りませんければ、早く吹切《ふっき》りません、それゆえ欲《ほし》いと申されました事でございまして」
秋「其の人は何処《どこ》の者か」
源「へえ実はその……私《わたくし》が平常《ふだん》心易《こゝろやす》くいたしますから、どうかお前頼んでくれまいかと云われて、私が其の医者を同道いたしてまいりまして、当家の婆《ばゞあ》に頼みましたのでございます」
秋「ムヽウ、其の医者は何処の者だえ、いやさ近辺にいるというが、よもやお抱《かゝ》えの医者ではあるまい、町医か外療《げりょう》でもいたすものかえ」
源「へえ、その……大概その外療をいたしましたり、ま其の風《かぜ》っ引《ぴ》きぐらいを治すような工合《ぐあい》で」
秋「何と申す医者だえ」
源「へい、その誠にその、雑《ざっ》といたした医者で」
秋「雑と致した、そんな医者はありません、名前は何というのだえ」
源「名前はその、えゝ……実はその何でございます、山路と申します」
秋「山路……山路宗庵と云うか」
源「へえ、好《よ》く
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