却って悪い、と云うのは元来《もと/\》お屋敷へ出入《でいり》を致すのには、殿様を大事と心得なければならん、そりゃアまた出入町人にはそれ/″\係りの者もあるから、係り役人を粗末にしろと云うのではないが、素《もと》より手前は上《かみ》の召上り物の御用を達《た》す身の上ではないか、なア」
源「へえ誠にどうも其の、えゝ…何うも私《わたくし》がその、事柄を弁《わきま》えませんものでございまして、唯飴屋風情の者がお屋敷へお出入を致しまして、お身柄のあります貴方様を始め、皆様に直々《じき/\》斯う遣《や》ってお目通りをいたし、誠に有難い事と心得まして、只私はえゝ何うも其の有難くばかり存じますので、へえ自然に申上げます事もその前後《あとさき》に相成ります」
秋「なに有難く心得て、言う事が前後《ぜんご》になるというのは可笑《おか》しい一体何ういう訳で手前は当家の婆《ばゞあ》に斑猫《はんみょう》を捕《と》ってくれろと頼んだか、それを云えというんだ」
源「それはその私《わたくし》が懇意にいたします近辺に医者がございまして、その医者がどうも其の薬を……薬は一体毒なもので、※[#「やまいだれ+難」、第3水準1−
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