んで一疋六百ずつで買うか、それを聞こう」
 と源兵衞の顔を見詰めている中《うち》に、顔色《がんしょく》が変ってまいると、秋月喜一郎は態《わざ》とにや/\笑いかけました。

        四十一

 さて秋月喜一郎は、飴屋源兵衞を柔らかに欺《だま》して白状させようという了簡、其の頃お武家が暴《あら》い事をいたすと、町人は却《かえ》って驚いて、云うことも前後致したり、言いたいことも言い兼《かね》て、それがために物の分らんような事が、毎度町奉行所でもあった事でございます。源兵衞は何うして知れたかと思って、顔色《かおいろ》を変え、突いていた手がぶる/″\震える様子ゆえ、喜一郎は笑《えみ》を含みまして、物柔らかに、
秋「いや源兵衞何か心配をして、これを言ってはならんとか、彼《あれ》を言っては他《ほか》役人の身の上にも拘《かゝ》わるだろうと深く思い過《すぐ》して、隠し立てを致すと却って為にならんぞ、定めし上役《うわやく》の者が其の方に折入《おりい》って頼んだ事も有るであろうが、其の者の身分柄にも障《さわ》るような事があってはならんから、これは秋月に言っては悪かろうと、斯う手前が考えて物を隠すと、
前へ 次へ
全470ページ中378ページ目


小説の先頭へ
文字数選び直し
三遊亭 円朝 の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ 登録 ご利用方法 ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング