軽いものが宜《い》い」
嘉「軽いものと仰しゃっても今上げるものはごぜえません、南瓜《とうなす》がちっと残って居ますし、柿は未だ少し渋が切れないようですが、柿を」
供「柿の樹《き》はお屋敷にもあります」
秋「今日《こんにち》は来ないかの」
嘉「いえ急度《きっと》参《めえ》るに相違ごぜえません」
と云っている内に、只今の午後三時とおもう頃に遣《や》ってまいりましたのは、飴屋の源兵衞でございます。
源「あい御免よ」
婆「はい、お出でなせえまし、さ、お上《あが》んなせえまし」
源「あゝ何うも草臥《くたび》れた、此処《こゝ》まで来るとがっかりする、あい誠に御亭主|此間《こないだ》は」
嘉「へえ、是はいらっしゃいまし、久しくお出《いで》がごぜえませんでしたな、漸々《だん/″\》秋も末になって参《めえ》りまして、毒虫も思うように捕《と》れねえで」
源「これ/\大きな声をするな、是《こ》れは毒の気《き》を取って膏薬を拵《こしら》えるんだ、私《わし》は前に薬種屋《きぐすりや》だと云ったが、昨日《きのう》婆《ばア》さんに会った、隠し事は出来ねえもんだ、これは口止めだよ、少しばかりだが」
嘉[#「嘉」は底
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